2023年3月3日

おりーぶ卒業生のみきさんより

依存症のみきといいます。
私は以前、おりーぶでお世話になっていた利用者の一人です。

私がおりーぶに繋がったのは、アルコール依存症が原因で精神病院へ入院したことがきっかけです。
その当時のことは今では笑って話せる内容なのですが、当時はもちろん笑い話ではありませんでした。
精神病院へ入院したのは24〜25歳の頃でしたが、そのころの私は寝ている時間以外はずっとお酒を飲んでおり、素面でいる時間はほぼなかったと思います。
今でもその時飲んでいた焼酎のパッケージや匂いを嗅ぐと気分が悪くなります。
ですが、当時はそれを飲んでいないと生きていない(=正気を失っていないと生きていけない)と信じ込んでいました。
この時期やらかしたことはさまざまで、私自身が覚えていなかったり(茶飯事に思えて)印象が薄かったりすることも多々あります。
おりーぶに来てからも半年後くらいにODをしていたと先日言われて、やっと思い出したぐらいなので、自分でも笑ってしまいます。

おりーぶを出てそこそこの年月が経ち、私も周りから「大人になった」や「自分がある」というようなことを言っていただけることが多くなりました。
それまでは「まだ子どもだから」や「自分に自信をもちなさい」と言われることが多かったのですが、今ではあまりそう言われることはありません。
24歳でお酒を飲んで入院したりODを繰り返していた私と、今の私は地続きの同じ私なのですが、言われる言葉が違うのは、私が変わったからなんだろうと思っています。

24歳の私はとても生きることつらく、お酒を飲んでいないと生きていけませんでした。周囲の目というか、「周りは私をこう思っているんじゃないか」という妄想がとても気になって、振り回されて、生きづらかったのです。

しかし今は、そういう「周りはこう思っているんじゃないか」の妄想に振り回されていません。
その妄想から脱出できたのは、自分の考え方や物事の捉え方(認知)が変わったからだと思っています。
私はやっぱり、24歳のアルコール依存だった私から地続きの私なので、自分が嫌になったりつらい、しんどい気持ちに陥ってしまいそうなときはあります。
ただおりーぶを経て私が身に着けたものは、そういう自身との付き合い方です。

私は春と秋の曖昧な季節が苦手なので、そういう季節は無理な予定をたてたり、仕事や人との付き合いで自暴自棄にならないように注意しようと自分に言い聞かせます。
よくわからないけれど悲しかったり、苦しかったりするときはとりあえずご飯を食べて、よく寝て、体を休めてから考えます。
お酒が飲んでみたいなと思ったときは、地獄のようだった24歳のときの自分の生活を思い出します。
私が「大人になった」と表現されることの一つは、おそらくこういう自分との付き合い方やコントロールの仕方を覚えた、自分をあやすことを覚えたというところなのかなと思います。

今になって思うことは、多分私は「死にたい」んじゃなくて、「生きたく」なかったんだろうなということです。
生きることは辛いですし、一人で深い海の上を航海しているような気分になるときがあります。すごく心許なくて、さみしい気分です。
でも今は自分の心をおやす方法を覚えて、辛いことや不安なことより、楽しいことや幸せなことに目を向けるようになりました。せっかく生きているので、楽しく愉快に生活したいと思っています。

これは私の勝手な推論ですが、私たちのような生きづらい人たちは自分をあやすのが下手くそなのかなと思います。
私もそうですが、楽しいことより不安なことや辛いことによく目を向けがちです。
でもそんなことをしていても、いいことなんか一つもありませんでした。ずっと苦しくて、生きづらいだけでした。なら、楽しく愉快に生きたほうが、お得だと今は思っています。

もう一度同じ人生を送りたいかと聞かれたら首を傾げますが、私の人生がいいものかどうかを聞かれれば、そこそこいい人生ですと答えられる。
できればそんな人生になるよう、楽しく胸を張って生きたいと思っています。

投稿者 おりーぶ : 15:29 | 回復者の声 |

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